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ドリアンモードのススメ
ドリアンモードとは
ドリアンモードとは、ナチュラルマイナーの6度をシャープさせた音階です。
まず普通の短音階(短調の音階)を考えます。例えば、Eから始まる短音階(Eナチュラルマイナー)は以下のようになっています。
E F# G A B C D
そして6度の音をシャープさせます(半音上げます)。
E F# G A B C# D
これがEドリアンです。6度が上がっただけのことですが、いわゆるメジャー・マイナー・あとメロディックマイナーとかハーモニックマイナーとは世界が異なります。『ドリアンモード』という世界観があるのです。
ドリアンモードのコード進行
ドリアンの世界観を最大限に表現するため、モードではコード進行を希薄化します。
|Em |Em |Em |Em // こんなコード進行になる
|Em |A7 |Em |A7 // ドリアンの場合、こういう進行も
ベースがずっとEで、その上にドリアンモードの構成音を基本とした伴奏が乗るというイメージです。仮に3音以上のハーモニーを使っていても、コード(和音)というイメージではなくなります。
ドリアンモードの求め方(伝統的なやりかた)
なお、ドリアンを求めるのに、『ドレミファソラシドをレから始める』という考え方が使われることがあります。
ドレミファソラシド // メジャー
レミファソラシドレ // ドリアン
たぶん歴史的には正しい求め方なのでしょう。リラやハープなどを弾く際、固定化されたチューニングのうち、どの音程から始めるかで雰囲気を変えるというテクニックが使われていたと思われます。でも現在の文脈でドリアンを求めたい場合は、ナチュラルマイナー -> 6度シャープのほうが早いです。
ドリアンの良いところ・うーんなところ
ドリアンを自分はよく使っており、数えたわけではないですが、ナチュラルマイナーより使っているのではないかと思います。
自分にとってドリアンの魅力は、6度シャープの音の『明るい濁り感』です。
長6度の音は、短3度という重要な音とぶつかります。なので濁りが生じますが、一瞬なら大丈夫です。
例えば、ギターやピアノで低いEの音を鳴らしっぱなしにしつつ、高い音域でB -> C# -> D と弾いてみると感じが出ます。
B C# D
x
x
x
E _ _
このC#の音の明るい濁り感は、ブルースのソロで長6度が出てきたときに似ていると思います。
逆に欠点というか難しい点もあって、ドリアンではCメジャー/AマイナーでいうFが使えません。
Cメジャー/AマイナーでいうFは、そこを起点にするにもよし、Cなどからつなぐもよしの万能コードなのですが、AのドリアンではFにシャープがつくので、F#m7-5に変身してしまうのです。
F#m7-5も味のあるコードですが( Sir Duke に使われています)、FやFmaj7、F6などの汎用性にはさすがに負けてしまいます。前述の通り、ドリアンではコード進行というものが希薄になるので自分は使わずになんとかごまかしています。
レッツドリアン
ドリアンを使った名曲には Miles Davis の So What 、作曲者不詳の Greensleeves などがあります。また、ゲーム音楽によく出てくるイメージがあります。自作も面白いよ!
#ドリアンモード #作曲 #dtm #milesdavis