7/17/2025

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The JOJOLands Vol.6 ジョジョシリーズにおける『受け継いだ人間』たち

ジョジョランズ 6巻 アッカの血統

 ジョジョランズ(The JOJOLands)の6巻を読みました。メインチームが二手に分かれての展開が熱いですね。

 さて、6巻で印象に残ったのは(パコもいるけど)、アッカの過去回想です。アッカの祖父はさらに祖先のラトラートから受け継いだ土地を失いかけていました。宝物のティントレットの絵画は実際に失いました。議員および背後のマフィアが水源の権利を狙ってあえて土地に火をつけたのです。アッカの祖父は拳銃を使って復讐を完遂します。運転していたドライバーを始末するなど呵責ないものです。

 そして10年、アッカの祖父のもとにティントレットの絵画が戻ってきました。ラトラートの一族が宝物を入れておく『宝箱』の存在(性質が露伴ちゃんの短編に出てきたカバンに似ている)、ジョジョランズのマクガフィン的存在である『溶岩』が神々の山で見つかったらしいということなど、今後への伏線がありそうな回想でした。

 『溶岩』や『宝箱』はジョジョランズ内での伏線ですが、この回想は『ジョジョの奇妙な冒険シリーズ』全体を揺るがせる描写でもあったように思います。ついに『受け継いだ人間』側がラスボスになったのです。

ジョジョシリーズにおける(血統などを)『受け継いだ人間』

 ジョジョの奇妙な冒険シリーズが『部』に分かれていることは有名です。『部』ごとにジョースターの血を引いた主人公がいて、敵の陰謀を暴くのが基本線です。特に6部では、主人公はジョースターの血統から誇りと勇気を得て強くなったと評されています。(厳密にはそう評されたのは3部主人公の承太郎ですが)

 しかし6部の最後に状況が変わります。7部スティール・ボール・ランからはパラレルワールド扱いになり、血統の因縁から開放されます。7部のジョースターはジョニィですが、彼は父親から見放された身体障害者で、漆黒の意思を持つ人物です。6部の徐倫も一見父親(承太郎)と不仲ですが、作品途中で繋がりを取り戻し、ジョースターの誇りを手に入れます。

 ジョニィも物語最終盤で父親と和解こそしますが、あまり重要では無いと思います。父親自体が承太郎に比べ『ちょいキャラ』すぎる、物語において重要度が低すぎるのです。

 ジョニィは『受け継いだ人間』ではありませんでした。しかし、ジョニィの旅のパートナーであるジャイロ・ツェペリは代々の血統から鉄球の技術と誇りを受け継いだ人間でした。受け継いだ人間はまだ味方側にいたのです。(というか、ジャイロのほうが主人公だという節もあります)

 8部ジョジョリオンにおける受け継いだ人間は『東方憲助』さんでしょう。スティール・ボール・ラン大会に出場した祖先が開いたフルーツ農園・フルーツパーラーを守り経営しており、フルーツについて自慢げに語る姿はコミカルながらも受け継いだ人間の誇りを感じさせます。憲助はバトルシーンこそ少ないですが登場人物たちへの精神的影響は大きいです。また、味方側です。

どうなっちゃうのか

 9部のアッカに至って、ついに『受け継いだ人間』が敵になったのです。アッカは今のところ頼りないですが、『受け継いだ人間』をなめてはいけません。それはジョジョ1-8部で分かっていることなのです。おそらく追い詰められたときの爆発力があるのでしょうし、それでどんどんと精神的に成長してしまうのではないかと想像します。

 それに対して、ジョディオたちは『持たざるもの』であり、ついでにいえば『悪』でもあるように思います。ジョジョシリーズ的に悪とは『利益のために他人を利用する』と一言で言えると思いますが、それでいうとジョディオたちはかなり悪に近いです。悪も厄介なのは1-8部で分かっていますが……。  ジョジョランズは今まで味方にいた『受け継いだ人間』が敵に、敵にいた『悪』が味方になってしまった世界といえるでしょう。

 この戦いがどうなるのか、興味津々で見守っています。

#ジョジョの奇妙な冒険 #漫画考察 #ジョジョランズ